one journey
ずっと前に去った街に背を向けて歩いて来て、ふと振り返ると随分と遠くに来てしまったことに気が付いた。
紆余曲折を繰り返し、繰り返し今ここに居る。
出会いは多く、別れは少なかったこの数年だったが、久し振りに別れを実感して
少しだけ鼻の奥がツンと痛んだ。
○
太陽が西の空を横切ったあと、水を張った田園から立ち込める水蒸気でこの街は群青に染まる。
薄暗い街燈がぼんやりと照らすバイパスには疎らに車が走っていた。
この光景を見るのもあと数回か。と思いながら、青い煙を飲んでいた。