むかしのはなし

ニ児の父。のらりくらりと生きてます。

search the best way

都会ではないが、新幹線が停まるこの街で、少しだけ居心地の悪さを感じながら2年半生きてきた。

 

出会いは多かったが、気のおけない人は居なかった。

ずっと本音を言えず、建前だけで話す内に、綺麗事で汚れていく自分が嫌いだった。それでも、自分を好いてくれる人がいた、と信じたい。

 

数年前までは心の拠り所だった音楽もいつのまにか、聴く時間も探す時間も減っていった。代わりはなかった。

 

この街を去ろうと考えたのに明確な理由はない。綺麗事で言えば、「キャリアを積むため」。会社にはそう言って、辞めた。引き止められはしなかった。

 

次の街はどんな街なんだろうか。

いつも通り自分を粘土のように捏ねくり回して、そこの形式に嵌めて仕舞えばいい。そして飽きれば捨てればいい。

 

塗り固めた仮面ばかりが重なって、息を吐く間もないまま生きていく。

 

イヤホンから流れる曲のボリュームを1つ上げる動作を最後に、この街を去る。